ー 都会の男女の寂しい恋物語
鈴江俊郎 『髪をかきあげる』の上演時間・人数
上演時間(目安) 90分
人数 7人 男4 女3
受賞歴
第40回岸田國士戯曲賞 受賞
あらすじ
畳の部屋、ガラステーブルの上に恋人が立っている。
馬の真似をしている。
トモヨは恋人を追い返す。
勝手に門限を決めて、一人になる時間を作っているのだ。
そのくせ一人になると「どうして帰るんだバカ」と呟くような孤独な心持ちがやってくる。
そんなトモヨに新しく強烈な恋が訪れた。
職場の先輩。
妻との孤絶に苦しむ先輩はトモヨに問い掛けた。
「心に空洞があるでしょ。」
そして「髪がかきあげられるくらいになったらもっと素敵だなあ」
反発しながらも髪を気にするようになってしまうトモヨ。
彼女の出会う人たちはどうしてこうも淋しいのか。
淋しさに悶えて夜の川をさまよう蛍みたいな現代人たちの心象はトモヨにちっとも希望を与えない。 office 白ヒ沼様より引用
感想・コメント
「ぶるるるるるるう。……馬。」というセリフから始まる台本。テーブルの上に男が立っていて、馬の真似をしています。
なんやこれ!?っとなってしまいそうな状況設定ですが、これが鈴江俊郎作品のおもしろさ。
『ともだちが来た』という作品では、部屋で埃とアリを眺める男からスタートしますが、こちらと似たような感覚を感じます。
登場人物のちょっとおかしな行動にも関わらず、台本全体としては、非常にリアルで人間の本質をついているような気がします。例えば、髪をかきあげるでは、”ひとりになりたい。けれど一人になったらなったで苦しい。”というような、人間そもそもの矛盾している、けれども人間としてはありうる感情を細やかに描いています。そうすると、馬の真似をする人間というのもあながち笑えるものではないかもしれませんね…
いずれにせよ、岸田國士戯曲賞に選ばれるだけの名作です。ぜひ、一度読んでみることをお勧めします!!
鈴江俊郎 『髪をかきあげる』の台本入手方法
こちらのページより台本の購入が可能です。
また鈴江俊郎さん作 『髪をかきあげる』に関しては、書籍化もされているため、書店や通販サイトなどで購入が可能です。
鈴江俊郎 『髪をかきあげる』の上演許可について
台本を上演の際には、かならずoffice 白ヒ沼様のほうへ許可を頂いてください。