三浦大輔 『愛の渦』
ー 乱交パーティから描くグロテスクでリアルな人間像
第50回 岸田國士戯曲賞受賞
2014年 映画化
男 7 女5 上演時間 約120分
あらすじ
ロフト付き高級マンションに集う、見ず知らずの男女の乱交パーティーを描く衝撃的作品。サラリーマン、学生、保母…ごくふつうの「肉体関係者」たちが織りなす、グロテスクで精緻な人間模様。午前0時から5時まで繰り広げられる、性欲の宴をドキュメンタリータッチで描き出す。スキャンダラスで苦い、リアルを透徹した喜劇。
愛の渦 | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!より引用
宮沢章夫氏の選評
ほんとうに面白かった。「乱交パーティー」というきわめてスキャンダラスな素材を扱うことで、その側面ばかりに目をとられてしまうが、その書き方の、緻密さや、ひとつひとつの行為をていねいに表現してゆく筆致が、素材と奇妙な対照をなして興味深かった。登場するのは、ぱっと見には、ろくでもない人物ばかりだ。だが、そうしたグロテスクな人間関係が苦い喜劇になっている。男の携帯電話から、パーティーに参加した女の履歴を消させるだけという一連の行為を作家が執拗に描くとき、そのどうでもいいような手続きがきわめて現実的で、人はこうした、どうでもいい行為の連続のなかに生きているのを、読む者は知る。やはり苦い喜劇だ。