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カラシニコフ不倫海峡

作者: 坂元裕二

カラシニコフ不倫海峡』の上演時間と人数

男:1人

女:1人

その他:

総人数:2人

上演時間:130分

あらすじ,概要

(往復書簡形式の朗読劇です) 待田健一の妻は、アフリカでの地雷除去ボランティアに参加し、少年兵に撃たれて行方不明となった。彼女を追って死のうと考えていた待田は、田中史子と名乗る女からのメールを受け取る。時に図々しく、時に喧嘩腰で不快な文面を送りつけてくる田中。待田がいい加減うんざりしたころ、彼女はようやく用件を告げる。「あなたの妻は生きています。アフリカでわたしの夫と一緒に暮らしています」と。 不倫され捨てられた者同士、待田と田中は男女の関係になり、やがて協力して金儲けを始める。待田はボランティアに命を捧げた妻を偲ぶ夫として各地で講演し、田中は待田と妻の夫婦愛を高らかにうたいあげる本を執筆するのだ。多くの人が感動の涙を流した。二人は世間を欺き、勝利した。ように思えた。 ある日突然、田中の夫が帰ってくる。田中の夫と別れた待田の妻も「生還」し、再び待田と暮らすつもりらしい。空港での夫婦の再会はテレビで放映され、また多くの人が感動の涙を流した。でも―― 明日妻が帰ってくる部屋で、待田は田中にメールを打つ。

カラシニコフ不倫海峡を読んだ感想

不倫している二人の配偶者同士の不倫、不倫の影にあるもうひとつの不倫。田中史子と待田健一の関係は、傷を舐めあうように、またそれぞれの夫と妻へ当てつけるようにして始まります。しかし次第に純粋な好意が、そして愛情とも呼べるようなものが生まれていく。そう言ってしまえばよくある話のようでもありますが、二人のメールの文面にあらわれる感情の起伏、また語られる出来事のディテールの細やかさが、彼らの関係を唯一無二のものとして描き出します。 同じ『往復書簡 初恋と不倫』に収録されている『不帰の初恋、海老名SA』では、重く悲惨な状況に置かれた当事者同士の恋が描かれます。それとは対照的に、こちらの作品の田中と待田は、地雷原へと向かったそれぞれの配偶者たちによって、生ぬるい日常に置き去りにされているといってもいいかもしれません。しかし田中の夫が作中で「世界のどこかで起こることは日本でも起こりえる」と語るように、悲劇の起こらない場所はない。田中と待田を待ち受ける結末はまさに悲劇的です。そしてそれ故に、彼らが共にした喜びの一つ一つはとても愛おしく感じられます。 彼らの恋は決して美しくも偉大でもありませんが、どんなにささやかなもの、影に隠れたもの、嘘にまみれたものであっても、想い合う二人の関係は本人たちにとってはかけがえのないたった一つのものである――そんなことを、つくづくと感じさせられる作品です。

坂元裕二さんのプロフィール

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