【男3女2・60分】鈴江俊郎『七分の一の秘訣』
【男3女2・60分】鈴江俊郎『七分の一の秘訣』-戯曲を探す 戯曲図書館美恵は男にふられた。ガス自殺しようとした。 死ねなかった。 何がどうしたのか、自分が悪かったのか、もう判断もつかない。 男は完全な説明をしてくれた。 でも私がほしいのは説明じゃなかったのに。 慰めあうような傷つけあうような下宿の隣人がいて、その人も彼女にふられたみたいだった。 ふられた者同士で話しても、話しても、結局はなにもならない。 なにもならないのはわかっているのに、私は話したいのだ。 心の七分の一だけでしか人は泣けない、という。 七分の六ではただぼんやりと自分を眺めたりするだけだ、という。 本当にそうなのか、私は自分を見つめてみる。 七分の一泣きながら、六で見つめている。 今日も。明日も。