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署名人

作者: 清水邦夫

署名人』の上演時間と人数

男:5人

女:0人

その他:

総人数:5人

上演時間:80分

あらすじ,概要

時は明治時代。讒謗律(名誉毀損を取り締まるものだが、実質は政府批判への言論弾圧)に触れる文章に署名し、筆者の身代わりとなって投獄されることで金を稼ぐ「署名人」井崎は、暗殺未遂で捕まった本物の憂国の志士である松田、赤井と同じ監房に入れられる。逃げ出したという典獄の飼い猫の行く末などを案じている井崎の傍らで、脱獄を企てる松田と赤井。そのためには二人の獄吏を殺した上で、井崎をも殺すか、または脱獄の道連れにしなければならない。改革という大きな目的の前では、罪なき小さな人間が殺されることは避けられない運命なのか。

署名人を読んだ感想

監獄という閉ざされた空間における、息詰まるような台詞の応酬が実に魅力的です。人が死ぬところを見たくない井崎が迫られるのは、殺される獄吏を後目に脱獄するか、殺されて牢に残るかという選びようのない選択。井崎がころころと答えを変える様には、追い詰められた人間の苦悩がありありと表れています。あたかも木に登って下りられなくなった猫のごとく、大義のために生かされたり殺されたりする人間の無力さ、そして叫びが胸をつく作品です。

清水邦夫さんのプロフィール

清水邦夫
所属劇団等:
ウェブサイト:https://kunioshimizu.net/
清水 邦夫さんは早稲田大学第一文学部演劇科卒業後、演劇企画グループ「木冬社」を結成。その後、演出家・蜷川幸雄さんとコンビを組み、反体制的な生き様を描く作品で時代を席巻した。その後も、文学座などに脚本を提供。テレビドラマ脚本や小説も手がけました。多くの賞を受賞し、演劇の賞だけでなく芥川賞の候補にもなっています。

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