【男7女5・120分】野田秀樹『贋作 罪と罰』

〜120分

ー 野田秀樹がドストエフスキー『罪と罰』から新しい物語を紡ぐ

上演時間 120分(目安)

人数 12 以上 男7 女5 以上(目安)


あらすじ

『超人には、人類のために既成の道徳法律を踏み越える権利がある・・・・』

幕末の日本で、そう考える女主人公・三条 英(さんじょう はなぶさ)は、正義のため、高利子の金貸しの老婆を殺してしまうが、偶然そこに居合わせた老婆の妹までも自分の手にかけてしまう。

迫り来る判事から逃げる中、友人の才谷 梅太郎(さいたに うめたろう)は、罪の意識に苛まれ苦しむ英の異変に気づき、その身を案ずるも、彼もまた幕末という歴史の渦に飲み込まれていく。

「ええじゃないか」踊りが江戸市中を埋め尽くすなか、ついに三条 英が心のうちを語り始める・・・・・!

感想・コメント

名作ドストエフスキー「罪と罰」をさらに名作にしてしまう野田秀樹の腕に驚愕しました。

野田秀樹『オイル』のときにも思ったのですが、野田秀樹さんは、強い心情を持った女性を描くのがうまいというか、確固たる信念を持ち続けているのに、揺らぐ心というか、確固たる信念を持っているからこそ、そこに矛盾した要素が入ってくると、精神的に不均衡が生じる。というような、通常の葛藤の描き方とはまるで違う葛藤のような気がします。

野田秀樹さん自身、何かのインタビューで、ソ連の崩壊を引き合いに出して、「理想を追い求めていくというような綺麗な姿がなぜ破綻しちゃうのか」野田秀樹『贋作 罪と罰』で言えば、多くの人を救うために金貸しの老婆を殺すという「正義が理論だけに終わって、崩壊していくその姿を書くだけでも、面白いと思った(要約)」というようなことを述べていたようで、着眼点がすごいというか、凡人には思いつかないというか、それでも確かに…と思う言葉でした。

主人公・三条 英の『私はね、自分の罪がわからないの、ぜったいに!一度も!今ほど強く、正しかったと思うことはないわ!』というセリフ。葛藤して追い込まれているのに、『絶対』という言葉を使うこの矛盾した精神。それなのに強く心に突き刺さるものがありました。

ぜひ、読んで見てください。そして、上演してみてください。おすすめです!

作者:野田秀樹について

NODAMAPを設立し活躍する劇作家・演出家。東京芸術劇場芸術監督、多摩美術大学教授を務める。

特徴

散りばめられた言葉遊びを活かし、古典作品や既存作品を新しい視点から蘇らせるリメイクを特徴とします。

略歴

1976年、東京大学演劇研究会を母体に劇団夢の遊眠社を結成。1992年に解散するまで、脚本・演出を担当し、人気を獲得。その間に海外公演も何度も行いました。
1993
年、演劇企画制作会社野田地図(NODA MAP)を設立。劇団の枠にとらわれないプロデュース公演の先駆けとなります。
番外公演として、少人数で行う舞台も行い、その作品は学生劇団や小劇場で何度も上演され続けています。

受賞歴(抜粋)

1983年、『野獣降臨』で第27回岸田國士戯曲賞受賞

1999年、『Right Eye』で第2回鶴屋南北戯曲賞受賞

2009年、イギリスのエリザベス2世女王より名誉大英勲章OBEを授与される

2011年、紫綬褒章を受章。

野田秀樹『贋作 罪と罰』の台本入手方法

『贋作 罪と罰』は、新潮社から出版されている『解散後全劇作』に収録されています。

購入することができるのでぜひ、手にとってごらんください。

解散後全劇作について

劇団「夢の遊眠社」解散後の5作品を収録。

収録作品は、『キル』『贋作・罪と罰』『TABOO』『赤鬼』『ローリング・ストーン』です。

途中、野田秀樹が公演パンフレット用に書いたエッセイも含まれていますので、読み応えのある戯曲集になっています。

野田秀樹『贋作 罪と罰』の上演許可について

野田秀樹さんの作品の上演許可は、NODAMAP公式サイトに情報があります。

上演許可申請を出し、上演料を支払えば、問題なく許可を得られると思いますので、必ず上演許可を取ってから上演するようにしましょう。

野田秀樹『贋作 罪と罰』ー 戯曲を探す 戯曲図書館

 

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