【男6女1・80分】久野那美『行き止まりの遁走曲(フーガ)』

〜80分

久野那美『行き止まりの遁走曲』の上演時間・人数

上演時間 80分

人数 7人 男6女1(初演時を参考にしています。)

あらすじ

灯台守は悲しかった。灯台を守ることができなかった。
そこは本物の灯台ではないし彼は本物の灯台守ではなかったけれど。
腕章の男も悲しかった。日の当たらない名もない場所を美しい公園にしたかったのに。
写真家の男は悲しかった。目的なのか伝説なのかもはやわからなくなった風景を探して海岸線を歩いていた。
赤い靴の女は悲しかった。だから逃げることにした。逃避行は目的のない旅なので行けるところまで行こうと思った。
新進気鋭のミュージシャンは悲しかった。ニセモノから始まった自分の音楽の全てが。今自分がここにいるのはきっと始まりが間違っていたからだ。
招かれて来た男は語った。ニセモノは、誰かのヒーローになるために嘘をつくんだよ。
唄うたいは灯台の上で歌っていた。

港の形の公園が今日ひっそりとその役割を終える。
伝説のミュージシャンMr.Xを招いて行われるクロージング・フェス。
その日そこで歌われる歌は…
行き止まりの町のニセモノの港のおしまいの日の物語。(公演情報より引用)

概要

遁走曲(とんそうきょく):フーガとは、前の旋律が繰り返し繰り返し追いかけるように演奏される楽曲の形式です。

この物語でも次々に人々が、やってきては会話をして、去って行き、あるものは音楽を奏でそしてそれに続いて歌を歌い、という風に音楽を基調にして、空間が成立していく作品です。

本物と偽物、終わりと始まりのような2項対立の狭間で悩む人の姿が見事に描かれています。

「大きな穴」が舞台上に空いているという仕掛けは、コメディ調に仕上げる機能をうまく担っているとおもいました。また、それが演劇のいわゆる”フィクション性”を強めることで物語の世界観をうまく作り出しています。

作者:久野那美について

作品ごとに新しいユニットを結成し、公演が終わったら解散するという『階』というユニットで活躍する劇作家・演出家です。『パノラマビールの夜』で第5回OMS戯曲賞の佳作を受賞。

『階』シリーズは、1997年の「箱の階」以降、「船の階」、「山羊の階」、「道の階」など継続的に活動しています。

最近では、蛸の階(2019-2020年)で、高知県、兵庫県の二県にまたがって公演をするなどして活動の幅を広げています。

久野さんは自身の台本をnoteなどで公開しており、高校演劇などで何度も上演され、さらなる人気を獲得しています。

階 webサイトはこちら
階公式webサイト

これまでの「階」シリーズ

1997

箱の階

パノラマビールの夜』

1999

船の階

『海に送った灯』

2000

山羊の階

『ここはどこかの窓のそと』

2011

道の階

『それは、満月の夜のことでした』

2014

缶の階

『ヒーローに見えない男/缶コーヒーを持つ男』

『椅子に座る女/椅子を並べる男』(2幕)

2015

空の階

『財産没収』(作:テネシー・ウィリアムズ}

2016

Recycle缶の階

『話すのなら、今ここにないもののことを話したかった。 今ここにないものの話ばかりしようと思った。』(2014年版の改訂)

2016

嘴の階

『洗濯機』『それは、満月の夜のことでした』(リーディング公演)

2017

点の階

『・・・』

2017

匣の階

イストワール第8Port- 見えない町の話をしよう –』※リーディング公演

2018

匣の階

『パノラマビールの夜』

2019

Fの階

『なにごともなかったかのように再び始まるまで』

2019-2020

蛸の階

『行き止まりの遁走曲<フーガ>

 

久野那美『行き止まりの遁走曲』の台本入手方法

久野那美さんの『行き止まりの遁走曲』は、こちらのnoteで無料で公開されています

また、こちらより紙の形式での上演台本を入手することもできます。

久野那美『行き止まりの遁走曲』の映像について

久野那美さんの『行き止まりの遁走曲(フーガ)』は、2019年から2020年にかけて、高知県と兵庫県神戸市で公演が行われました。そのときの映像がそれぞれDVDとして発売されているので、ぜひお買い求めください。

高知公演

神戸公演

久野那美『行き止まりの遁走曲フーガ』の上演許可について

久野さんの脚本の上演許可は、以下のフォームより受け付けています。

注意事項などをよく読んで、かならず上演許可をとってから上演するようにしましょう。

 

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