【男1女2・30分】安部公房『鞄 (『棒になった男』より第1景)』

〜30分

安部公房『鞄 (「棒になった男」より第1景) 』

安部公房『鞄』の上演時間・人数

上演時間  30分(予想)

人数 3人 男1(鞄役) 女2

あらすじ

女の家にやってきた女友達の客。

女は、奥から鞄を取り出し、客に見せ、鍵を開けて中身を確かめてほしいと頼む。

その鞄は、女の主人いわく「先祖」だという。

ときおり物音やうめき声が聞こえるその鞄を目の前に二人はうろたえる…

概要

この『鞄』という作品は、「棒になった男」というオムニバス形式の戯曲の一部になります。

「棒になった男」は、『鞄』『時の崖』『棒になった男』の全3景により構成されています。

内容はそれぞれ独立しているため、『鞄』単体で上演されることもしばしばあります。

“鞄”役の是非

安部公房は、鞄役について実際の人間を用いて上演しましたが、別役実はこの演出方法について、

“古くさいすり切れた鞄そのものが、人間に見えてくるかどうか、と云う点に全てが支払わなければならない”」「“この演劇的な装置から云ってそれは致命的な間違いなのだ”」と言って、安部公房の文学的な意味付けの過剰さを批判しています。

(別役実『ことばの創り方』https://amzn.to/2TDTUqZ より抜粋、引用。)

安部公房の文学的な巧みさと、別役実の演劇性へのこだわり、どちらが正しいかは置いておいて、このような視点でこの作品を見てみるのもよいのではないでしょうか。

作者:安部公房について

安部公房  (1924年〜1993年)

芥川賞も受賞した小説家です。

初の戯曲作品である。『少女と魚』を発表以後盛んに劇作活動をおこなう。

後年、「安部公房スタジオ」を立ちあげて俳優の養成にとりくみました。舞台は国際的な評価も受けましたが、安部公房スタジオの活動の様子はあまり記録に残っていません。

1993年に急性心不全で死去。

受賞歴

1951年「壁」で芥川賞を受賞。

1958年 「幽霊はここにいる」で岸田演劇賞受賞(岸田國士戯曲賞)

1962年「砂の女」で読売文学賞を受賞。

1967年「友達」で谷崎潤一郎賞を受賞。

特徴

ひとつのモチーフを、複数の分野で作品で違う形で発展させています。

例えば安部公房の「鞄」は、小説版と舞台版があり、同じモチーフを異なった形で描いています。

作風はいわゆる不条理劇のような構成で、文学的な表現や、モチーフを何かの記号として表現する傾向が見られます。

安部公房『鞄』の台本入手方法

安部公房の『鞄』は、戯曲「棒になった男」の1場面になっています。

棒になった男はこちらから購入できます。

小説版の「鞄」はこちらの短編集に収録されています。

また、安部公房全集の22巻にも収録されているので、そちらからもご覧いただけます。

安部公房『鞄』の上演許可について

安部公房さんの戯曲は、安部公房さんがすでに亡くなられているために上演許可がやや難しくなっています。

上演している団体も時折見かけるので不可能ではないかもしれませんが、早めの準備が必要です。

問い合わせ先はよくわかっておりませんが、安部公房さんのご家族が権利を所有している可能性が高いでしょう。

タイトルとURLをコピーしました