【13人・120分】大橋泰彦『ゴジラ』

大橋泰彦『ゴジラ』の上演時間・人数

上演時間(目安) 120分
人数 13人(男5・女6・他2)

受賞歴

1988年岸田国士戯曲賞受賞作品

あらすじ

純真無垢な少女やよいが結婚相手として家につれてきたのは、巨大怪獣ゴジラだった! 噛み合わない会話、潰れる家財、やってくるマスコミ、逃げまどう周辺住民。ゴジラとやよいは愛を貫けるのか、それとも―― 

感想・コメント

ゴジラと人間の恋。そう、ゴジラとは何の比喩でもなくあのゴジラ。ビルを踏みつぶし火を吐く怪獣です。この作品ではそのゴジラ(や他の怪獣たち)を、生身の役者がそのまま演じます。つまり、周りのリアクションや目線で巨大さを演出するということになるはずです。
 非常にシュールな物語であり、登場人物同士の掛け合いも笑い所満載なのですが、ただそれだけの作品ではありません。人間の暮らす世界を蹂躙するゴジラという存在。人間の弱さを知らず、人間の痛みを感じられないその姿には、別のイメージが重なります。
 自然災害。
 最初と最後のシーンでは、やよいがゴジラを連れてくることに伴う一連の大騒動が、実は1986年の三原山噴火の物語であることが示されています。ゴジラは架空の存在でも、それがもたらす被害、平穏な生活が突如として破壊される理不尽さは、決して絵空事でも他人事でもありません。
 生まれ育った街に起きた悲劇を、心優しい少女やよいは、どんな思いで受け止めていたのでしょうか。人間には愛し得ないものを愛すること。夢を見ること、現実を直視すること。人を傷つけることと傷つくこと。さまざまな解釈や演出が成り立ちうる作品です。

大橋泰彦『ゴジラ』の台本入手方法

大橋泰彦作『ゴジラ』は、書籍化されており、書店や通販などで購入できます。

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