永井愛 『兄帰る』

150分〜
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永井愛 『兄帰る』

 ー 厄介者が帰って来た……本音と建前の間で揺れる人間模様。

第44回岸田國士戯曲賞受賞

男4 女4  上演時間 約160分

あらすじ

夏のある日、中村家に長年厄介者扱いされてきた長男の幸介が帰ってきた。人生をやり直すため仕事が見つかるまでの間、幸介は家に住み着くことになる。親族たちは幸介の就職を実現しようと様々な手を考えるが、世間体、面子、建前、義理、人情などそれぞれの思惑が重なり合い、話は揉めることになる。

兄帰る (戯曲) – Wikipedia

井上ひさし氏の選評

 その点、永井愛『兄帰る』の設定は地味である。蕩児が弟のところへ帰ってくるという設定は、菊池寛の『父帰る』を連想させて損でさえもある。だが、作者の登場人物に与えた性格づけの面白さ、そして台詞術の冴えが、平凡な設定を、やがて輝くようなものに変えてしまう。要点を常にぼかす胆芸の叔父、同じことをくりかえしてばかりいる非論理の塊の叔母、感情論でしかものが言えない姉、この三人に振り回される弟、そして何を考えているのか得体の知れぬ蕩児の兄。各人の台詞はすべて各人の性格から発せられ、みごとな台詞術になっている。山場は正論しか言わない弟の妻が蕩児の兄から激しく面罵されるところ。ここで設定が逆転して、逆ノラ劇になる。すばらしい本歌取りである。つまり作者は、よく知られている二つの設定を使って、そう簡単には古びない確固たる劇を一つ創造したわけだ。

第44回岸田國士戯曲賞選評(2000年) – 白水社

兄帰る

兄帰る

 
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