佃典彦 『ぬけがら』

〜130分
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佃典彦 『ぬけがら』

ー 若返っていくぬけがらを通して描かれる「親父」と「戦後の日本」

第50回岸田國士戯曲賞受賞

男7 女4  上演時間 130分

あらすじ

なにをやってもうまくいかない男は、妻に先立たれた認知症の父親の面倒をみることになる。しかしその父親がトイレに入ったきりでなかなか出てこない。そこでおそるおそるトイレのドアを開けてみると、そこには、中身のないフニャフニャの父のぬけがらだけが残されていた。
その後もさまざまな場所で脱皮を繰り返し、そのつど若返っていく父親は、しまいには男よりも若くなってしまう。

「秀逸なアイデア」と選考委員が絶賛した、第50回岸田國士戯曲賞受賞作品。

ぬけがら | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!より引用。

佃典彦さんの『ぬけがら』は積極的に、三浦大輔さんの『愛の渦』は消極的に推した。
『ぬけがら』は、年老いた父親が脱皮を繰り返し、ついには息子よりも若くなってしまうという着想が卓抜だ。その果てに、息子は「ぬけがら」となった八十代から二十代の父六人に、ああだこうだと言われながら、一緒に冷や麦をすすることになる。老いた父に混在する記憶と、中年の息子を取り巻く悲劇を、爆笑の仕掛けで展開させた作者の力量に感心する。ベタつかない台詞もいい。それだけに、より深い作品にもできただろうという思いも残る。各年代において、父がどんな生き方をしたのかがもっと掘り下げられていたなら、「年下」となった父と息子に新たな関係が生じたなら、それらのすべてが息子の現在に影響したなら……などと、つい欲深くなってしまう。しかし、あらゆる引き算をした上でなお、この作品は爽快だ。この作品の後味の良さは、ほのかな希望を感じさせたラストにあるのではなく、このような着想を得るに至った劇作の姿勢そのものにあると思う。

第50回岸田國士戯曲賞選評(2006年) – 白水社

ぬけがら

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