三谷幸喜 『オケピ!』

150分〜

三谷幸喜 『オケピ!』

ー三谷幸喜がつくるオーケストラピットでのドタバタコメディ

※三谷幸喜氏の脚本は上演許可がおりないことで知られております。
第45回 岸田國士戯曲賞受賞

男9 女4  上演時間 210分

あらすじ

舞台は、ミュージカルを上演中のオーケストラ・ピット。登場人物は、そのミュージカルの裏方でもある指揮者と12人の演奏者。ミュージカルの陰の主役でもあるオーケストラの人間関係模様を開演前からカーテンコールに至るまで、同時進行で描き出す。全編に溢れる音楽に乗せて進行するオムニバスドラマ。ミュージカル本番中のアクシデントを乗り越えてオーケストラはひとつになれるのか?

ミュージカル「オケピ!」感想 〜色んなことが気になって演奏どころじゃない〜 : A Song For You より引用

野田 秀樹氏の選評

 選考作品を読みながら私が取るメモを見ると、三谷氏の『オケピ!』は、「上手い」「巧い」のコトバで目白押しだ。
 『オケピ!』に限らず、三谷氏が持ち出してくる「場所」はいつでも「うまい所を思いついたなあ」と唸らされる。思いつきそうで、思いつかないところを持ってくるのが実にうまい。『オケピ!』に限っていえば、その場所はバックステージものでありながら、単純な楽屋裏でもなく舞台袖でもない。舞台と横並びにある場所ではない。舞台と上下関係にある舞台下である。しかもそれは、奈落でもない。舞台の裏ではないのだ。表にありながら下にあるという実に微妙な場所だ。こういう所を選んでくるのが心憎いくらい巧いのである。
 そして、三谷氏が選んだ場所は、彼の作品に流れる風や臭いを決定づける。『オケピ!』で言えば、その表でありながら下であるという「場所」は、明るいけれども陰のあるところとでも言えば良いのだろうか、「陽のあたる場所」ではなく「陰のあたる場所」だ。そこには人間の失意があるが、けしてそれは陰湿に挫けていくようなものではなく、人々はいつも上を向いて生きている。だが、どんなに頑張っても、その場所に当たるものは上にいる者の陰でしかない。うーん、実にいい場所を思いついたもんだ、ったく、唸っちまうぜえ、となったわけである。

第45回岸田國士戯曲賞選評(2001年) – 白水社

オケピ! The Orchestra Pit 2003 (PARCO劇場DVD)

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オケピ!

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